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X-0031
XPS(ESCA)の原理
X-ray Photoelectron Spectroscopy
X線光電分光法(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)は、ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)とも呼ばれる表面分析手法のひとつです。試料表面から数nm程度の元素組成及び化学状態(価数や結合状態)に関する情報が得られます。
超高真空状態で、固体試料表面に軟X線(MgKα線やAlKα線)を当てると、光電効果により、表面物質中の原子に束縛されている電子は、X線のエネルギーによって真空中に飛び出します。光電効果で飛び出した電子を光電子といい、結合(束縛)エネルギーは、元素固有のエネルギーを持つため元素の定性ができます。また、化学状態の違いが、結合エネルギーのシフト(化学シフト)として現れるため、元素の価数や結合状態がわかります。
■測定方法
一般には、ワイドスキャン分析(広いエネルギー範囲を走査)によりどんな元素が存在するかを調べます(定性分析)。ピークの面積比により元素組成がわかります(半定量分析)。次にナロースキャン分析(特定元素が現れるエネルギー範囲を高分解能で走査)して、ピーク位置(化学シフト)とピーク形状から化学状態を特定します。最後に深さ分析して、試料の深さ方向に対する、元素組成・化学状態の変化を測定します。
◆電子基板配線パターンの銅表面の変色部の分析 / ソルダーレジスト表面の分析◆金電極表面の変色及びはんだ濡れ不良解析 / セラミック表面のシミの分析◆黒鉛の結合状態の解析 / 樹脂表面の残留物分析 等
■Q&A
Q1:XPSは、なぜ表面数nmの分析ができるのですか?A1:XPSは、軟X線のエネルギーによって内殻電子が飛び出す光電子を計測します。しかし、こ の光電子の平均自由工程(散乱・衝突などの妨害を受けることなく進むことができる距離)が 数nmしかないため、数nm以上の深さの光電子は検出器まで届かないためです。
Q2:長所と短所を簡単に教えてください。A2:長所⇒中和イオン銃があるため試料が絶縁性でも測定できます。また、オージェ電子分光 (AES)よりも化学シフトによる化学状態の識別がしやすいです。 短所⇒高真空下での測定のため、液体、ガスの測定はできません。また、分析エリアが径 10μmから100μm程度のため、数μm以下の微小部位の測定はできません。
Q3:どれぐらいの大きさの試料まで測定できますか。A3:1cm×1cm×0.5cmが目安です。試料が大きすぎると測定時の真空状態の悪化につながり ます。
Q4:試料はどのように準備すればよいですか?A4:指紋、ゴムやビニール手袋の成分が試料に触れないように注意願います。また、試料保管 もチャックつきのビニール袋を用いず、アルミホイルの光沢のない面で包んでください。ビ ニール中の可塑剤が試料表面に転写され、測定結果に影響が出る恐れがあります。これは、 数nm数十nmの表面分析(XPS、AES、TOF-SIMSなど)では、極めて重要です。
Q5:深さ分析はどうやって試料を削るのですか?A5:一般的には、重イオンであるアルゴンイオン(Ar+)を試料に当てて、表面原子(分子)をたた き出す(スパッタリング現象)を利用して削ります(Ar+エッチング)。一方、試料へのダメー ジや変質、ある特定の元素が選択的にエッチングされる可能性もあるため、注意が必要で す。有機物には、比較的ダメージが小さいArガスクラスターイオンやカーボンクラスター イオン(フラーレン:C60+など)を用いることもあります。
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X線光電分光法(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)は、ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)とも呼ばれる表面分析手法のひとつです。試料表面から数nm程度の元素組成及び化学状態(価数や結合状態)に関する情報が得られます。
超高真空状態で、固体試料表面に軟X線(MgKα線やAlKα線)を当てると、光電効果により、表面物質中の原子に束縛されている電子は、X線のエネルギーによって真空中に飛び出します。光電効果で飛び出した電子を光電子といい、結合(束縛)エネルギーは、元素固有のエネルギーを持つため元素の定性ができます。また、化学状態の違いが、結合エネルギーのシフト(化学シフト)として現れるため、元素の価数や結合状態がわかります。
■測定方法
一般には、ワイドスキャン分析(広いエネルギー範囲を走査)によりどんな元素が存在するかを調べます(定性分析)。ピークの面積比により元素組成がわかります(半定量分析)。次にナロースキャン分析(特定元素が現れるエネルギー範囲を高分解能で走査)して、ピーク位置(化学シフト)とピーク形状から化学状態を特定します。最後に深さ分析して、試料の深さ方向に対する、元素組成・化学状態の変化を測定します。
◆電子基板配線パターンの銅表面の変色部の分析 / ソルダーレジスト表面の分析
◆金電極表面の変色及びはんだ濡れ不良解析 / セラミック表面のシミの分析
◆黒鉛の結合状態の解析 / 樹脂表面の残留物分析 等
■Q&A
Q1:XPSは、なぜ表面数nmの分析ができるのですか?
A1:XPSは、軟X線のエネルギーによって内殻電子が飛び出す光電子を計測します。しかし、こ
の光電子の平均自由工程(散乱・衝突などの妨害を受けることなく進むことができる距離)が
数nmしかないため、数nm以上の深さの光電子は検出器まで届かないためです。
Q2:長所と短所を簡単に教えてください。
A2:長所⇒中和イオン銃があるため試料が絶縁性でも測定できます。また、オージェ電子分光
(AES)よりも化学シフトによる化学状態の識別がしやすいです。
短所⇒高真空下での測定のため、液体、ガスの測定はできません。また、分析エリアが径
10μmから100μm程度のため、数μm以下の微小部位の測定はできません。
Q3:どれぐらいの大きさの試料まで測定できますか。
A3:1cm×1cm×0.5cmが目安です。試料が大きすぎると測定時の真空状態の悪化につながり
ます。
Q4:試料はどのように準備すればよいですか?
A4:指紋、ゴムやビニール手袋の成分が試料に触れないように注意願います。また、試料保管
もチャックつきのビニール袋を用いず、アルミホイルの光沢のない面で包んでください。ビ
ニール中の可塑剤が試料表面に転写され、測定結果に影響が出る恐れがあります。これは、
数nm数十nmの表面分析(XPS、AES、TOF-SIMSなど)では、極めて重要です。
Q5:深さ分析はどうやって試料を削るのですか?
A5:一般的には、重イオンであるアルゴンイオン(Ar+)を試料に当てて、表面原子(分子)をたた
き出す(スパッタリング現象)を利用して削ります(Ar+エッチング)。一方、試料へのダメー
ジや変質、ある特定の元素が選択的にエッチングされる可能性もあるため、注意が必要で
す。有機物には、比較的ダメージが小さいArガスクラスターイオンやカーボンクラスター
イオン(フラーレン:C60+など)を用いることもあります。