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H-1001
工場跡地を安全に! 土壌汚染調査の法的義務を解説
- 前編 -
(最終更新日:2025年2月4日)
工場の廃止や跡地の活用を検討する際に、必ずと言っていいほど話題になるのが「土壌汚染調査」です。土壌汚染は私たちの健康に深刻な影響を与える可能性があり、適切な対策が求められます。
しかし、土壌汚染調査の必要性や法的義務について、詳しく理解している方は少ないのではないでしょうか?
この記事では、土壌汚染調査の法的義務、調査の手順、汚染が判明した場合の対策まで、わかりやすく解説していきます。
<目次>
工場の廃止や跡地の活用を検討する際に土壌汚染調査が必要となる理由は、土壌汚染が私たちの健康に深刻な影響を与える可能性があるからです。
土壌汚染とは、工場の操業などの人間活動や自然由来の有害物質によって、土壌が汚染された状態を指します。工場の製造工程では様々な化学物質を使用しますが、これらの物質やその排水、廃棄物などが適切に管理されずに土壌に漏出したり、地下水に浸透したりすることで、土壌汚染が発生する可能性があります。
土壌汚染対策法では、ベンゼン等の揮発性有機化合物、カドミウム等の重金属類、PCBなど26物質が有害物質(特定有害物質)として指定されています。
これらの物質による土壌汚染が生じると直接的な健康被害を引き起こす可能性があります。
土壌汚染から私たちの健康を守るために、適切な対策が必要となります。そこで、土壌汚染対策法が制定されました。
土壌汚染対策法は、土壌汚染の状況を把握し、汚染による健康被害を防止することを目的とした法律です。この法律では、土壌汚染の調査義務、汚染が判明した場合の対策に関する規制などが定められています。
土壌汚染対策法では、工場の所有者や管理者に対して、土壌汚染状況調査の義務が課せられています。
具体的には、以下の3つのケースで調査義務が発生します。
有害物質使用特定施設とは、水質汚濁防止法で定められた特定施設のうち、特定有害物質を製造、使用、または処理する施設のことです。この施設の使用を廃止した場合、土地の所有者や管理者は、土壌汚染状況調査を行う義務が発生します。
一定規模以上※の土地の形質変更を行う際、つまり、土地の形状や用途を変更する際には、事前に都道府県知事への届出が必要になります。この届出時に土壌汚染のおそれがあると判断される場合、土壌汚染状況調査を行う義務が発生します。
※掘削・盛土の範囲が3000m2以上(ただし、有害物質使用特定施設が敷地内に設置されている場合は900m2以上)
都道府県知事などが、土壌汚染によって健康被害が生じるおそれがあると判断した場合、土地の所有者や管理者は、土壌汚染状況調査を行う義務が発生します。
土壌汚染状況調査は、土壌汚染対策法に基づき公正に実施するために、環境大臣または都道府県知事によって指定された「指定調査機関」が行います。
指定調査機関は、土壌汚染に関する専門知識を持つ技術管理者を配置し、その指導・監督の下、調査を実施します。
土壌汚染状況調査は、以下の手順で行われます。
<概況調査で汚染が確認された場合>
土壌汚染調査の結果、汚染が確認された場合、その土地は「要措置区域」または「形質変更時要届出区域」に指定されます。その違いは、健康被害のおそれがあるか否かです。
要措置区域に指定されると、土壌汚染の摂取経路を遮断するため、汚染の除去等の措置(指示措置)等が示され、汚染除去等計画の作成及び提出が指示されます。
指示措置は、地下水等経由の摂取リスクの観点からの土壌汚染がある場合(土壌溶出量基準に適合しない場合)と直接摂取のリスクの観点からの土壌汚染がある場合(土壌含有量基準に適合しない場合)とで異なり、汚染の判明した有害物質の種類によっても方法が変わってきます。指示措置には、土壌の封じ込め(※1)や掘削汚染の除去(※2)などがあります。土地の所有者等は指示措置のほか、これと同等以上の効果を有すると認められる汚染の除去等の措置のうちから、講じようとする措置(実施措置)を選択することができます。
作成した汚染除去等計画について、都道府県知事等から基準を満たし問題ないと確認が得られた後、措置の実施に進みます。基準に適合しない計画の場合は、計画の変更命令が出されます。
土地の所有者等は、汚染除去等計画に記載された実施措置が完了したときは、都道府県知事等に措置の完了等の報告をしなければなりません。
形質変更時要届出区域では、土壌汚染の摂取経路がなく健康被害の生ずるおそれがないため、汚染除去等の措置を求められることはありません。ただし、土地の形質の変更を行う場合は、都道府県知事等にあらかじめ届出が必要になります。
※1 封じ込め・・・汚染土壌を封じ込めて地下水等による汚染の拡散を防止する措置です。原位置封じ込めや遮水工封じ込め、遮断工封じ込め等があります。
※2 土壌汚染の除去・・・汚染された土壌を除去や浄化する措置です。掘削除去や原位置浄化があります。
土壌汚染調査は、法律により調査が必要なケースや調査方法が細かく規定されています。都道府県によっては条例で上乗せ基準を設けており、上記の対象にならないケースでも調査義務が発生する場合があるため注意が必要です。
この記事が、土壌汚染調査に関する理解を深める一助となれば幸いです。
(-後編へ続く-)
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(最終更新日:2025年2月4日)
工場の廃止や跡地の活用を検討する際に、必ずと言っていいほど話題になるのが「土壌汚染調査」です。土壌汚染は私たちの健康に深刻な影響を与える可能性があり、適切な対策が求められます。
しかし、土壌汚染調査の必要性や法的義務について、詳しく理解している方は少ないのではないでしょうか?
この記事では、土壌汚染調査の法的義務、調査の手順、汚染が判明した場合の対策まで、わかりやすく解説していきます。
<目次>
工場廃止、土壌汚染調査はなぜ必要?
工場の廃止や跡地の活用を検討する際に土壌汚染調査が必要となる理由は、土壌汚染が私たちの健康に深刻な影響を与える可能性があるからです。
土壌汚染とは、工場の操業などの人間活動や自然由来の有害物質によって、土壌が汚染された状態を指します。工場の製造工程では様々な化学物質を使用しますが、これらの物質やその排水、廃棄物などが適切に管理されずに土壌に漏出したり、地下水に浸透したりすることで、土壌汚染が発生する可能性があります。
土壌汚染対策法では、ベンゼン等の揮発性有機化合物、カドミウム等の重金属類、PCBなど26物質が有害物質(特定有害物質)として指定されています。
これらの物質による土壌汚染が生じると直接的な健康被害を引き起こす可能性があります。
土壌汚染から私たちの健康を守るために、適切な対策が必要となります。そこで、土壌汚染対策法が制定されました。
土壌汚染対策法は、土壌汚染の状況を把握し、汚染による健康被害を防止することを目的とした法律です。この法律では、土壌汚染の調査義務、汚染が判明した場合の対策に関する規制などが定められています。
土壌汚染対策法の概要:調査の義務と区域指定
土壌汚染対策法では、工場の所有者や管理者に対して、土壌汚染状況調査の義務が課せられています。
具体的には、以下の3つのケースで調査義務が発生します。
(1) 有害物質使用特定施設の廃止時
有害物質使用特定施設とは、水質汚濁防止法で定められた特定施設のうち、特定有害物質を製造、使用、または処理する施設のことです。この施設の使用を廃止した場合、土地の所有者や管理者は、土壌汚染状況調査を行う義務が発生します。
(2) 一定規模以上の土地の形質変更時
一定規模以上※の土地の形質変更を行う際、つまり、土地の形状や用途を変更する際には、事前に都道府県知事への届出が必要になります。この届出時に土壌汚染のおそれがあると判断される場合、土壌汚染状況調査を行う義務が発生します。
※掘削・盛土の範囲が3000m2以上(ただし、有害物質使用特定施設が敷地内に設置されている場合は900m2以上)
(3) 土壌汚染による健康被害のおそれがある場合
都道府県知事などが、土壌汚染によって健康被害が生じるおそれがあると判断した場合、土地の所有者や管理者は、土壌汚染状況調査を行う義務が発生します。
土壌汚染調査の手順:誰が、どのように調査を行うのか?
土壌汚染状況調査は、土壌汚染対策法に基づき公正に実施するために、環境大臣または都道府県知事によって指定された「指定調査機関」が行います。
指定調査機関は、土壌汚染に関する専門知識を持つ技術管理者を配置し、その指導・監督の下、調査を実施します。
土壌汚染状況調査は、以下の手順で行われます。
<概況調査で汚染が確認された場合>
土壌汚染が判明した場合:汚染の除去等の措置
土壌汚染調査の結果、汚染が確認された場合、その土地は「要措置区域」または「形質変更時要届出区域」に指定されます。その違いは、健康被害のおそれがあるか否かです。
要措置区域に指定されると、土壌汚染の摂取経路を遮断するため、汚染の除去等の措置(指示措置)等が示され、汚染除去等計画の作成及び提出が指示されます。
指示措置は、地下水等経由の摂取リスクの観点からの土壌汚染がある場合(土壌溶出量基準に適合しない場合)と直接摂取のリスクの観点からの土壌汚染がある場合(土壌含有量基準に適合しない場合)とで異なり、汚染の判明した有害物質の種類によっても方法が変わってきます。指示措置には、土壌の封じ込め(※1)や掘削汚染の除去(※2)などがあります。土地の所有者等は指示措置のほか、これと同等以上の効果を有すると認められる汚染の除去等の措置のうちから、講じようとする措置(実施措置)を選択することができます。
作成した汚染除去等計画について、都道府県知事等から基準を満たし問題ないと確認が得られた後、措置の実施に進みます。基準に適合しない計画の場合は、計画の変更命令が出されます。
土地の所有者等は、汚染除去等計画に記載された実施措置が完了したときは、都道府県知事等に措置の完了等の報告をしなければなりません。
形質変更時要届出区域では、土壌汚染の摂取経路がなく健康被害の生ずるおそれがないため、汚染除去等の措置を求められることはありません。ただし、土地の形質の変更を行う場合は、都道府県知事等にあらかじめ届出が必要になります。
※1 封じ込め・・・汚染土壌を封じ込めて地下水等による汚染の拡散を防止する措置です。原位置封じ込めや遮水工封じ込め、遮断工封じ込め等があります。
※2 土壌汚染の除去・・・汚染された土壌を除去や浄化する措置です。掘削除去や原位置浄化があります。
まとめ
土壌汚染調査は、法律により調査が必要なケースや調査方法が細かく規定されています。都道府県によっては条例で上乗せ基準を設けており、上記の対象にならないケースでも調査義務が発生する場合があるため注意が必要です。
この記事が、土壌汚染調査に関する理解を深める一助となれば幸いです。
(-後編へ続く-)